大手製紙会社

早見表

業界: 製紙会社
場所:​ 静岡県富士市
総敷地面積: 約145,000m2​​
年間製紙量: 98,700t(2013年度実績)
事業年数:​​ 1950年設立

需要家について

億単位の規模を誇る大手製紙会社Aにとって、65年近く業務を運営してきた過程で「効率性・持続可能性・品質」は最前線に位置してきました。厳格な環境基準を自らに課し、生産プロセスにおけるリサイクルの徹底と最適化を施すことで、同社製品を損なうことなく可能な限り消費を最小化させてきました。従って、デマンドレスポンス(DR)実証プロジェクト参加への提案をアプローチされた時に、同社はエネルギー管理戦略をさらに拡大する良い機会だと判断しました。

デマンドレスポンスの機会

デマンドレスポンス―系統における電力需給が逼迫している間に大口需要家に報酬を与えることで電力消費を削減してもらうプログラム―は日本においてはまだ実証の段階にあります。東日本大震災後の原子力発電所の相次ぐ運転停止に呼応するように、日本政府は昨今デマンドレスポンスプログラムを積極的に推進してきました。

原子力発電所が全面停止している中、全国の火力発電所は平均して発電容量の約80%の出力で運転しており、これは震災前の20%と比較すると大幅な増加です。これら火力発電所のうちの多くが「老朽火力」であり、熱効率が悪く、様々な修理を必要としています。夏場の暑い時期には電力需要が通常の発電所の容量を上回ってしまい、高価な自然ガスで稼動するピーク発電所が必要になります。これが最終的に擁護ができない大口需要家の電気代高騰へとつながるのです。

日本全国の様々な側面での節電努力は驚愕に値するものですが、ピーク需要時に系統の供給停止を防ぐには、国内の大口需要家による継続的かつ事前に計画された需要削減が必須になります。

エネルギー削減計画

大手製紙会社Aは、木材チップをあらゆる種類の紙へと変換する技術を要し、複数の重機を用いてチップをパルプに溶かしてそのパルプから紙を生成しています。これら同社の生産設備は合計5MWの電力をもって稼動しています。

需要が多い時期の生産割当に見合うために、大手製紙会社Aでは系統供給が停止している間でも生産に不可欠な重機を稼動し続けれるように施設内に3MW分の容量をもつ自家発電設備を設置しました。この自家発電設備の設置は、製紙プロセスから発生した廃棄物を燃料としたバイオマスボイラーに依存しており、同社の持続可能性への熱心さが反映されています。重油ボイラーと小型ディーゼル発電機が必要時にバイオマスボイラーを補っています。

製紙工場では、生産プロセスにおける電力消費の削減と施設内自家発電機を組み合わせることでDR発動期間中に系統の電力消費を大幅に削減しています。エナノックからの通知を受けてから、同社のコンサルティングを通じて作成したエネルギー削減計画を実施するまで15分の時間があります。製紙会社Aはエネルギー削減計画に沿って節電することで、削減目標値を達成することができます。バックアップ発電機を使用するのみならず、その他業務運用に必要とされない機器もDR発動中に1時間にわたって停止させます。

製紙工場Aでは相当量の週間生産割当がありますが、同社の最適化された生産モデルでは複数のシフトを設けることで生産を調整しています。施設内自家発電機が目標削減値を完全に達成できない場合は、工場における生産が一時的に減少もしくは停止し、週の後半にシフトを割り当てます。「必要であれば、DR発動中に高エネルギー消費を制御することができますし、代わりにピーク時以外の時間帯で電力を購入できます」と同社エネルギー管理部門担当課長は説明します。

DR参加の結果

実証開始からこれまでの間、需要削減が製紙会社Aの問題になったことはありません。同課長は「問題なく需要削減目標を達成しており、生産等の影響はありません」と語っています。

エナノックのエネルギーインテリジェンスソフトウェア(EIS)を活用することで製紙会社AのDR実証への参加は容易でした。EISにおいてリアルタイムでエネルギーデータをストリーミングすることで、同社エネルギー管理部門はDR発動の間どのように需要削減を実施しているのかを注意深く監視できます。ソフトウェア上に社内全体のエネルギー消費が5分間隔で表示され、DR発動の際には実際の電力消費を目標値に照らし合わせながら監視します。DR発動期間を通して、同部門は追加の重機を系統から遮断する必要があるのか、もしくは削減目標値を上回っているのかを確認することができます。

今後の展望

日本における産業用デマンドレスポンスの先駆者として、製紙会社Aは全国の広範囲でデマンドレスポンスプログラムが参加可能になるにつれて、エナノックと共にプログラムの参加を継続していきます。